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『 金魚 』




 phto:Kazyuki Matsumoto
(c)2009 ぷろじぇくと☆ぷらねっと






黒を着ることが多い。別に裏方に回るとき目立たないとか、
書き手に着る人が多いとかじゃなくて。
単に着てると落ち着くのである。

あと、綺麗な色を着ててれてれしてると、

童顔が目立って
ナメられるのが我慢ならない
という意識もどっかにあると思う。
そんな僕に役者SRくんは毎度呆れて言う。



同じような服ばかり
ちょっとずつ違うバリエーション揃えてどうすんの?」




どうすんのっ、て……真顔で言われると、けっこう傷つくぞ。




さて、この日ばかりは、しまった、と黒を後悔した。
地下鉄の階段を上がって神楽坂に出たら、

まちはすっかり お祭りモード

神奈川の家を昼に出たら、ものすごい土砂降りだったので、
今夜の
祭りはないものと覚悟して
地下鉄のヒトとなったのだったが。



赤城神社方面に出る階段をあがったら
雨など影もなくなっていて仰天した。
夜にはだいぶん間があるが、
綺麗な色の花やらなんやらの

模様の浴衣姿の女性もちらほらみえる。


坂にはスピーカから賑やかなお囃子も聞こえ、
夏の午後の陽射しも雲の合間からみえかくれしてんのに
黒一色の僕は
場違いったら無い。



ほんとうはしまい放しの紺地の浴衣でも引っ張り出して
着てきたかったのだが、
劇場さんとの打合せにまさか浴衣がけで行くわけにもいかない。
とりあえず、黒の薄い透ける生地の長めの裾を、

無意味に
ふあふあさせて、


相生坂を下り、劇場に向かう。
劇場での打合せはおもったより早く済んだ。
同行してくれたMCちゃんと喫茶店「トンボロ」で涼んでから、
祭りの前の坂をあちこちひやかして歩く。



途中、コンビニの中に、なんと、
金魚すくいの大きな水槽が出ていたのには
多いに心惹かれたけれど…帰途2時間ちかく

電車で袋に入れた金魚


連れ歩(?)かねばならぬ
ことを考えてガマンする。だいたい、家にあった水槽が
まだあるかわかんないし。
ひらひらした赤や白の着物の袂のような
尾鰭の金魚たちを後にして、坂を降りた。



MCちゃんが撮影の用事で帰るのとほぼ入れ違いに、
仕事の終わったARELとSRくんが合流したので、
ドトールで今後の公演準備の打合せに移る。


カウンターの窓から眼下を見ると、
坂下に阿波踊りの
踊り手たちが集まっているのが見えた。
ここは絶好の祭り見物スポットでもあるのだ。
数が増えてくる色とりどりの浴衣。
……あれ、さっきどっかで見た。



(金魚だ…)





もう数分すると、

いろ鮮やかな魚たちが、

この坂を踊りながらのぼってゆく。
急に自分が、目立たない川魚かなんかになったよな気がした。








◇WEB SITEリニューアル!
http://propla.p1.bindsite.jp/

◇2010年3月19日〜22日
神楽坂die-pratzeにて公演決定!




ぷろじぇくと☆ぷらねっとの「神楽坂逍遥」(その66)
(メールマガジン『週間神楽坂ニュース160号』 2009.7.25 発行)
より、許可を得て転載
| 神楽坂 | 02:21 | comments(0) | trackbacks(0) |

『 水輝みこ客演! 』






 

 










Photo:KAZUYUKI MATSUMOTO
(C)「After The Carnival」2009.3ぷろじぇくと☆ぷらねっと
(神楽坂die pratze)





去る3月22日、日曜日をもって、第五回公演『After The Carnival』は、
たくさんのお客様にお越しいただき、「わからん」と「素敵だった」の、


嵐のような賛否両論のもと、
全7ステージの公演の
幕を閉じた。
つくり手として、感想が一辺倒でないのは、かえってファイトが湧くし、
いろんな意見がきけるのは、ありがたいことだとおもう。
そして間違いなく、芝居の品質は、ぷろ☆ぷら最高の仕上がりになった。
みなさんにも、ご報告と御礼を申し上げます。
……ほんとうにありがとうございました!!



さて、その公演中、神楽坂die-pratzeでのはなしである。
ちょっと驚いたことがあった。


かつて、公演中に、ここまで劇場で名刺が飛び交ったことがあるだろうか?
気がつけば、芝居の出演者に、オファーがここでも、あそこでも。
ロビーの広さの都合上、劇場内が役者面会の場所になっているので、
『After The Carnival』の鉄塔のある舞台美術を背景にした名刺交換は、
なんだかのちのち夢に見そうな、とても不思議な光景だ。
ぷろ☆ぷらメンバーも複数の
出演打診をいただいた。




これはほんとうに、うれしいことだ。



僕はこの9人がどうやったら素敵に見えるかを、
この3ヶ月毎日毎日かんがえてきたのだから。




たたかってよかった、ぶつかってよかった、まあ、そのときは痛いけどね。
この、ひとと争うのが嫌いなじぶんが、アホじゃないかっておもうくらい、
芝居が絡むと一歩も退かないのにも、ちょっとおどろく。


稽古場で怒鳴りつけたこと、ときには
稽古場から
叩き出して泣かせてしまったこと、
深夜の胃が痛くなるような電話、無言の睨み合い、
もう、禿げるんじゃないかっておもったこと、
無駄ではなかったんだ。たぶん。



この舞台が、すばらしい、次のであいにつながりますように!
……僕のカンパ二ィ。しかしおなじ組み合わせは二度とないだろう。



つくって、ノウミツにして、こわす。それが
芝居だから。
そんなことをおもって、ちょっとだけ、涙が出そうになった。
まあ、死ぬほど見栄っ張りなので、泣かないのですが。


さて、公演が終わって2週間が経とうとしているいままでに、
すくなくとも二つの公演に、二人の役者の出演が決まっている。



その一人は、ぷろ☆ぷらメンバーである


女優、
水輝みこである


今回の芝居はホームコメディで、


一家の
お嫁さんという、


ぷろ☆ぷらではついぞ見ることのできない役どころだと聞く。



『After The Carnival』の主役である少年トキオ役のために、
すっきりとダイエットを果たした彼女は、引き続きダイエットも続行し、
DTPの技術も持っているので、DTPエディター「SHIZUKU」として、
この公演のチラシとチケットデザインも引き受け、
毎回の稽古が、たいへんながら、楽しくて仕方がないらしい。
彼女に関しても、いろんな思いがせきあげてきて、
ちょっとだけ、涙が出そうになった。
まあ、見栄っ張りなので、もちろん泣かないのですが。



こうして、神楽坂のちいさな劇場から、次の出会いがひろがっていく。

この出会いがうみだす次の物語を、
ぜひ


見に来てください!


==========



☆☆水輝みこ客演情報!
2009/5/15〜5/17

劇集団ささらいん×犬企画マンホール
『家族メシ』

【日時】 2009/5/15〜5/17
5/15(金) 19:00〜
5/16(土) 15:00〜/19:00〜
5/17(日) 16:00〜
※開場は開演の30分前

【劇場】 しもきた空間リバティ
http://www.liberty-feel.co.jp/kuukann/
(住所:世田谷区北沢2-11-3 イサミヤビル4F
 アクセス:小田急線/京王井の頭線「下北沢」駅南口より徒
歩2分)

【料金】 前売2,000円/当日2,300円

☆詳細は下記のサイトにてアップ予定
(携帯電話からも御覧になれます。)

「劇集団ささらいん×犬企画マンホール ホームページ」
http://sasaman.nobody.jp/index.htm

☆チケットのご予約は

E-mail: mizuki_mico@yahoo.co.jp(水輝予約アドレス)
TEL: 090-7237-3635(ぷろ☆ぷら制作部直通)
*必ず、お名前、ご希望日時、枚数、ご連絡先をお伝え下さい。

☆ぷろじぇくと☆ぷらねっとWebサイト

http://propla.hp.infoseek.co.jp/






ぷろじぇくと☆ぷらねっとの「神楽坂逍遥」(その59)
(メールマガジン『週間神楽坂ニュース152号』 2009.4.5発行)
より、許可を得て転載

 

| 客演情報 | 03:40 | comments(0) | trackbacks(0) |

『 代替物 』










ぜんぶなにもかもおぼえていられたら





書くひつよう





なんか





無いのかもしれない




そしたらすこしは気楽だろうか





それとも夜毎の夢はもう





緻密で緻密で




ぎっしりつまった地層のように




おもいチョコレートケエキのように





夜を圧迫するんだろうか





希薄なオモイデのなかで





粗いチーズ布のような神経繊維にさえひっかからない





記憶よ




40字×40行の




ディスプレイのみえないマス目にとどめられるものは




あまりにも少ない




ことばが触れたそばから




本質はきえていく




どうしようもない




まして




書いた




……文字なんて!




おもわず2Bのエンピツを投げつけたら




天蓋のような




ノウのすくりーんにささって




ささったところから




みるみる




ハイイロの




染みができた




目にうつる




すべてが




ないてるみたい




空のいろで風景はかわるんだな




「象は忘れない」




そんな言葉がどっかの国にあるんだそうだ




象は泣くんだろうか




忘れたいから?




傘が無いから?




ずっとそれを




そのハイイロをみてる





だからきっと、





今日は雨だ




目のまえにグレイの傘があって




なにかをおもいだしそうになったけど




こまったことにわすれたらしい




仕方なく傘をさして




やっぱりみている




いつかあかるくなるはずの




ほら



なんというなまえだったか



うえのほうを。







JUGEMテーマ:


| | 01:32 | comments(0) | trackbacks(0) |

『 風呂敷が走る 』






このメルマガで、すこし前に神楽坂上にある、風呂敷のお店
「ふろしきや・やまとなでしこ」が紹介されていた。
実は、僕は以前から
風呂敷になみなみならぬ興味を抱いている。




とにかく荷物が多い。
はじめて会ったひとはたいてい
「そんなにたくさん、何が入っているんですか?」
と、遠慮がちに尋ねる。
二代目になるアウトドア用のブルーのナイロンバックは、
結構知れ渡っていて、知人の公演を観に行って
劇場のロビーで預けたりすると
でっかいカバンがあるんで、来てるって分かりました!」
などと言われ、結構恥ずかしい。




米袋みたいな形のこのバッグに、稽古着、シューズ、台本はいうまでもなく、
演出プランを立てたり、スタッフさんと打ち合わせをするための、
ファイルや資料はどうしたって数冊になるし、
前後にバイトがあったりすれば、小中学生のテキスト数冊が加わる。




どうかすると、モバイルサイズにしては大きいノートパソコンとアダプタが
さらに加わり、ワークショップや稽古の音源用の小型スピーカまで突っ込むこともある。
さすがにこれ以上は入らないところまで詰め込んでしまうと、
出先で荷物が増えると、あたふたすることこのうえない。
あと、衣装や資料の受け渡しや、劇場への差し入れなどで、
すぐ相手に渡さなければならないものがあるとき、
米袋カバンの奥底にしまうとなかなか出てこないのもスマートでない。




対策にスーパーなどで持参を奨励している、
いわゆるショッピングマイバッグを携帯していたのだが、
いまひとつ使い勝手がよくないし、なんかカッコ悪くて嫌なのである。
理想としては、使わないとき小さくコンパクトで、
見た目がうつくしいものがいいんだが。




と、いうわけで「やまとなでしこ」に足を踏み入れてみた。
いや、デザインから大きさから、実に様々なものが揃えられている。
素材も正絹のものから、木綿、ポリエステル、レーヨンなど、
実に選択に迷ってしまう。
メルマガでも紹介されていたようにおもうが、はっ水性のものまであったりして、
突然の雨対策にいつも頭を悩ませている僕は、たいへんこころを惹かれたが、
まずはポリエステルのものをもとめることにした。
青と白の植物柄もさわやかで、なんだか嬉しくなる。
一緒に何種類かの包み方を解説したリーフレットもいただく。
まずはこの一枚で、使い勝手を研究してみよう。




店内に、海外で生まれた孫のお祝いにするとのことで、
昇り竜の大風呂敷を額に仕立てられないか相談しているご夫婦のお客さんがいた。
……も、ものすごくインパクトある柄だ。
いっそのこと、メインバッグをあの龍の風呂敷にしたらどんなもんだろうか、
という大胆な案が頭を寄切った。
大学時代、古事記を教えていた老教授が、いつもスーツに風呂敷だった。
あのなんともいえないしっくりした格好良さを思い出す。
ただし、彼は僕ほどは大荷物でなかったけど。




スーツにボコボコした風呂敷包みをしょって
自転車に乗って疾走している自分の姿を頭のなかでシュミレーションしてみて……
実行にはもうすこし検討の余地があるという結論に達した。
なんで老教授のようにエレガントな絵になんないのだろう?
年季が必要なのかな?




そのうち、こう言われるようになる気がしてならない。
「でっかい風呂敷包みがあるんで、来てるって分かりました!」



=================



ぷろじぇくと☆ぷらねっとの「神楽坂逍遥」(その49)
(メールマガジン『週間神楽坂ニュース142号』 2008.11.15発行)
より、許可を得て転載


| - | 13:33 | comments(0) | trackbacks(0) |

『 月と和菓子と 』


photo:KAZUYUKI MATSUMOTO





…連休の最終日、知人の公演を観た帰りに、神楽坂を歩いた。
女優ARELとMCちゃんが一緒である。
晴天に恵まれたこともあり、
夕方まで、カップルや家族連れで賑わっていて、
ちょっとした観光地のようだ。




ペースの早いリズムに合わせて動いているよな
新宿や渋谷の人出とは違い、どの顔ものんびりしている。
ダイエット中のMCちゃんに食べられるものがあるか
確かめてから、坂下の「カレーショップ ボナッ」で遅い昼食をとる。
すっきりした辛さのカレーで、
ご飯の量も調節できるので、女優二人も大満足。
辛いもの好きなくせに、辛いものに強くない
(矛盾しているがほんとうなのだ)僕は、
途中から涙が出てきて食べるペースが落ち、
二人を待たせることになった。
ちょうど、僕ら三人の注文で、ご飯が終わってしまい、
優しそうな目の店のご主人は、途中、
キッチンから立って「閉店」の札を入口にかけていた。




店を出て、坂上までぶらぶら散歩。
和菓子屋廻りをしたいと言うARELを先頭に、何軒か和菓子屋さんをのぞいた。
この時期はや薩摩芋のお菓子が多い。

栗のカクテルを店先のメニューボードに出しているお店もあったが、
美味しいのだろうか?
甘いお酒は飲まない僕には向かないようだ。
栗を使った温かい飲み物、というのも
カフェのメニューに見かけた。この方が味は想像できる。




ARELはまず、「きんときや」で、
栗の入った最中とおだんごを買い、
「ペコちゃん焼き」と「千鳥饅頭」(彼女の郷里の名産らしい)
は外からそっとのぞくに留め、
「五十鈴」は残念ながら休みだったのであきらめ、
結局、坂をのぼりつめて「梅花亭」にも入ってみた。
MCちゃんが彼氏へのお土産に、蒸したての「利休まんじゅう」
を買うのに触発されて、
僕も栗のぼこぼこ入った「栗蒸しようかん」を、
つい買ってしまう。
羊羹なんて、自分からすすんで食べたことのない
僕にしてみたら、とんでもないおもいきった、
しかも高価な買い物である。




とても売れるらしく、和服のうつくしい女店員さんは
「今日は蒸すのは三度目なんです、いまできたところ」
と言いながら袋に入れてくれた。
触ってみるとほっこり温かい。
女店員さんが「しばらく冷まして落ち着たら2〜3日は保ちますよ」
と言っていたから、できたてを食べるものではないのだろうが、
ちょっと味見してみたいという誘惑にかられる。
が、おもいなおし、日ごろ心配をかけている母への土産にすることにした。




三人それぞれ、和菓子の袋をぶらぶらさせながら、神楽坂を下りる。
週末の土曜日、18日に、急遽理科大のアートマーケットに出店することになったので、
道々その相談をしながら歩く。
手で一冊一冊、飾りをつけて製本した台本や、
舞台写真のポストカードに加え、
ヘアアクセサリーもすこし出してみようということになった。
再び坂下に着くころには、日は暮れきって、
ラムラのビルの右角に、銀色の月が、
びっくりするくらいおおきく、浮かんでいた。満月であるらしい。
その満月が、お茶と菓子を載せた、銀盆に見えてしまった。




……帰ったら、美味しいお茶を淹れなくっちゃなあ。




=================




☆2009年3/19(木)〜22(日)、公演決定!
「After The Carnival」(神楽坂die-pratze)
作・演出:日疋士郎

☆このエッセイへのご感想・ご意見がありましたら
proplagyomu@yahoo.co.jp
にぜひ、メールでお寄せください。

◇ブログ
「神楽坂逍遥」

http://propla.jugem.jp/

◇ぷろじぇくと☆ぷらねっと ウェブサイト

http://propla.hp.infoseek.co.jp/




ぷろじぇくと☆ぷらねっとの「神楽坂逍遥」(その47)
(メールマガジン『週間神楽坂ニュース140号』 2008.10.18発行)
より、許可を得て転載


photo:KAZUYUKI MATSUMOTO
『敬ヒタテマツル貴方様ヘ…(春)』(ゲネプロ)
(C) ぷろじぇくと☆ぷらねっと 2007





| - | 17:42 | comments(0) | trackbacks(0) |

『 春のサザナミ 』






関東はちらほら桜が散りはじめた。
来週は外堀の牛込見附の桜も、
水面にかさなるはなびらばかりになっているだろうか...
花吹雪とともに、にわかに慌しくなってきた春である。
僕らのプロデュース集団、ぷろ☆ぷらは3月から4月まで、
ワークショップなども一時休んで、メンバーの充電と研鑽期間に充て、
たぶん冬になる復活公演に向けての客演スカウトやらオーディションやら、
5月の活動再開に備えているのだが、兎に角いろんな漣が、
平静たるべきココロの水面にたって止まない。


私生活上でも僕の職場の波乱、そして身体の波乱(おかげさまで、
イカイヨウは治癒しつつあるらしいです、ながくかかりましたが、、、)
さらに女優MCちゃんの生活の変化、女優ARELの転職、
そして芝居関連では、男優SHRくんの、念願の実績ある先輩ユニットの
もとでの今月4月の客演、等々...詳しく書くと長くなるので、
ここでは割愛するが、すべてを意地でも吉と転じてみせようと
誓う春、なのである。夢を長々と語るのは、ちょっと恥ずかしい。


そんななか、僕の借りている倉庫の規模をいずれ縮小するために、
MCちゃん、ARELに手伝ってもらい、
地元神奈川のフリーマーケットに出店するはこびとなった。
不要な衣装、小道具、使用しなかった手芸用の素材や布やら、
あとPRも兼ねて物販用の台本ののこりやらを、
日常の仕事の合間に整理する日々である。


もともと手仕事が嫌いではない僕は、
それらぷろ☆ぷらとしての商品整理の
合間に、「日疋のお小遣い稼ぎブランド」と称して、
ヘアアクセサリなどを、深夜帰宅した後につくったり、
オリジナルのタグを付けてパッキングしたりして、
なかなかに忙しい日々を過ごしている。
このアクセサリ作りは、はんぶん遊びのようなものなのだが、
意外に過去数回のフリーマーケットでの、
評判も売れ行きも良いので、
そのうち「ぷろ☆ぷらアクセサリ物販部」として、
独立させよかと半ばホンキで考えている。
ほんとうは製作が間に合ったならば、
昨秋の神楽坂のアートマーケットにも出したかったのだが...


さて、前述のSHRくんの客演だが、
羨ましいと思うのはその稽古環境である。
都内のJR山手線沿い駅の、
古くからあるらしい商店街の5階建ての古いビル、
そのビルの2階、もとは店舗だったところが今回の劇場なのだが、
ユニットの演出家はじめ数人の役者やスタッフが共同で
ビルそのものを借りているため、
ほぼ持ち劇場のように使うことができる。


結果、公演は計10日という僕ら小劇団の常識から言えば
倍の期間、稽古には本番と同じ、
劇場そのものの空間を使うことができるという、法外な贅沢さである!!!
僕らのような小集団では、稽古場は公民館などの公共施設を
転々とするのが相当名の知れたところでも普通だし、劇場での稽古ができるのは
公演の前日というのが当たりまえのようになっている。
しかし劇場でずっと稽古できることは、役者もスタッフも
物理的、精神的両面において、非常な安心感を得られるものである。


聞けば地域との共存を目指して、階下にはリサイクルショップを常設し、
階上ではゴスペルコンサートや落語会も開いて街の人も、
積極的に招いているということだ。
このちいさな共同出資の劇場は、いまだ試行段階だが
地域密着型の民間劇場のテストパターンとして注目すべきものと
僕はおもっている。まだスタートしたばかりだが、
メンバーの一人をその初期の主催公演に参加させられたことは
幸運であったとおもう。
定着は容易ではないだろうが、応援したい。


僕にも劇場をめぐる夢がある。
都心であるからやはり低層のビルというのが現実的だろう。
1階はたとえば雑貨店とカフェを兼ねている。
一隅には僕のアクセサリブランドもより洗練をくわえて置いてもらおう。
やっぱ劇場は地下が良いかな?二階より上は稽古場と事務所にしよう、
あ、倉庫もあったらいいな、芝居を楽しんだお客さんにはカフェで
くつろいでもらって、芝居の余韻を胸に街を散歩しながらかえっていく、
そして、それが神楽坂だったら......夢を長々と語るのはちょ
っと恥ずかしい。。。


うかうかサボッてなどいられない、ここでは割愛するが、
すべてを意地でも吉と転じてみせようと誓う春、なのである。







☆メンバー、下浦治徳 客演情報
  ↓↓↓
http://propla.hp.infoseek.co.jp/kongo.html



◇ぷろじぇくと☆ぷらねっと ウェブサイト

http://propla.hp.infoseek.co.jp/





ぷろじぇくと☆ぷらねっとの「神楽坂逍遥」(その33)
(メールマガジン『週間神楽坂ニュース126号』 連載)
より、許可を得て転載。


| - | 01:33 | comments(0) | trackbacks(0) |

『 ハプニング(その4) 』




……前回よりつづく、
去る2月の、ドトール小公演のハプニングの話です。

(承前)

……いったん掴んだデッキを安定した位置に置きなおし、
舞台監督SKくんに(持っててくれ!)とジェスチャーで指示、
赤いコートのかけてある壁に二歩で近付く、コートを取る、

カフェ席の「舞台」では、昭和の男女の緊迫したやり取り、
女が観客の視線を神楽坂を見下ろす大きな窓の方にみちびく、
僕のいる方とは逆、
僕はすべるようにコートを左手に、
デッキが手に取れる階段のギリギリへ、
半身隠した状態で、右手をSKくんに差し出す、
…右手にデッキの重み、すでに何も考えていない、
台詞と音楽だけがきこえる、
身体が自分のものではないかのように動く。

バイオリンの演奏が始まり、
観客がバイオリニストのいる踊り場側を向く、僕は
一瞬前に振り返ってコートをデッキにかぶせ、
昭和の男を演じるSRくんの「退場」を待って、
身体が重なって死角になった瞬間、

コートをかぶせたデッキを目立たぬよう腰より下に提げ、
観客の座る椅子の間を
縫って、六歩半
坂を見下ろす窓にたどりつき、
ウェイターの演技で昭和の女に会釈して、前を通り過ぎ、

カウンタの元の位置ににデッキを置く。

男役のSRくんはデッキが復帰したことに気がついた。

振り返って、いつもと同じ側に戻り、
にっこり笑って女にコートを着せかける。

曲の盛り上がりのタイミングぴったり、
複雑なダンスを踊っているみたいだ。

踊り場側の僕の「カフェ席」に戻り、
現代の男女のセンチメンタルな会話、
台詞終わりでメインのデッキのプレイボタンを押して
僕の「台詞」を流す。
ポーズボタンを押しながら、立ち上がり、
復帰したデッキに入れるためのMDと
小道具のオルゴールを手にとる。

あと一回、さらに複雑なダンス。

踊り場まで行く途中に、
オルゴールの影に隠したMDを、
わざと見えるようにバイオリニストCHRさんに向けて掲げる。
彼女がもの問たげに視線を合わせてくるが喋るわけにはいかない。
デッキが復帰したから演技を元に戻すという意思表示なのだが、
ちゃんと伝わっているだろうか?確かめる間もなく、
彼女の前を通り過ぎ、

壁にかかっている帽子を手にとる。
受付スタッフが緊張して注目しているが彼らにできることはない。


帽子をかぶって、振り返る。
MDはもうオルゴールと一緒に小脇に抱えているから見えない。
現代の男の話す神楽坂の街と、「影」のあるく街が交錯するシーン。

客席を通り抜けながら、「紅い柿渋塗った唐笠」に見立てたコートを頭から被り、
身体を隠したまま、カウンタにオルゴールをセット、
その上に帽子を脱いでかぶせ、


連続した動作で、右に一歩移動、デッキのスイッチをオン、MDを入れ、
ディスプレイで出る台詞の時刻(各回違う)がこの回になっているか確認、
振り返り、

窓の前にコートを肩にかけて立つ
女の台詞にかぶせて、
男との間を隔てるカーテンのようにコートをふうわり着せかけ、

もう一度客席を通り抜けて、メインのデッキのポーズボタン解除。
もう心配ない。次のシーンは元の位置でちゃんとできる。

デッキから台詞、「不思議なことがあったのです…」

デッキの復帰が無事できたことのほうが、
そしてそれを自分がやったことのほうが、
僕にはよっぽど不思議だった。


日疋士郎
(ぷろじぇくと☆ぷらねっと/代表・劇作・演出)



Photo by 松本和幸 
(C)ぷろじぇくと☆ぷらねっと 2007



◇「神楽坂まちの手帖ニュース104号」(けやき舎メールマガジン)
連載『神楽坂逍遥(その12)』より許可を得て転載


◇けやき舎ホームページ↓
http://www.keyakisya.com

◇ぷろじぇくと☆ぷらねっと ウェブサイト

http://propla.hp.infoseek.co.jp/



| 小公演VOL.2公演記 | 23:05 | comments(3) | trackbacks(0) |

『 ハプニング(その3)



(前回より続く)
 
〜開演15分後。


階段の踊り場に「影」役である僕が「退場」すると、
舞台監督SKくんが壊れたはずのデッキを持って立っている。何事だ?

SKくんは言う。

「これ直っちゃったんですけど、どうしますか?」

 
「退場」といっても、
この芝居にはいわゆる「舞台袖」はない。
仮設した楽屋以外の、ドトール三階フロアーのすべての空間が
観客の視界に入る「舞台」だからだ。
いっとき、観客の視線とは別の方向に逃れるだけなのである。
 
そして、僕を含めた三人の出演者とバイオリニストの誰も、
一時間後のラストまで楽屋には引っ込まない。
そういう演出を僕は選んだ。
 
なのに。
 
「接触が悪かったから、詰めものをしたから絶対大丈夫、動きますよ!」

僕は視線と表情だけで、彼に、死角に下がれ、と必死に合図するが
なかなか伝わらない。喋れば、僕に近いお客さんの注意をひいてしまう。
 
SKくんの立っているそこは、今回の芝居では「舞台上」なのだ。
しかし、稽古を見た回数のすくないスタッフの彼には
そのことはなんとなくしか分からない。
すべての観客の視線の動きを把握しているのは僕ひとりなのだ。

 
そしてそれも「予定」でしかない。
誰かひとりがたまたまこちらを振り向いてハプニングに気付いたら、
他の人もつられて振り向く、どうする
僕がいるところについてくるだろう、とようやく気付き、
予定外だが、階段を中途まで下がる。
彼もついてきたので一時的に観客の死角にはなった。

 
「どうしますか?どっちのデッキでやりますか?」

それは、直ったもとのデッキでやった方が良いに決まっている。

しかし、またも変更があったことをお客さんの目にさらされた「舞台上」で、
バイオリニストと二人の俳優にどうやって伝えるんだ?

 
特にバイオリニストCHRさんは、演劇になれていない。
とっさに対応できるんだろうか。
 

SKくんと相談する時間的余裕は、まったく、ない。


 
全ての役者の動線と、曲のきっかけ、
観客の視線と芝居の山場がデータのようにすごい速さで頭の中で交錯する。
その瞬間、僕の頭の中は、遺伝子解読のコンピュータなみに
複雑なシュミレイションをしていたはずだ。
 

そして気付く。
 


(まずい!)


 
あと二分すると、すべての観客の視線がこちらに集まる。
二人の俳優がこちら向きで演技するからだ。
 

舞台では、昭和の男女のすれ違いの会話が進んでいる。
 
さらに気付く。


(できるのか?)


 
デッキを元の場所に戻すタイミングは、劇中ただ一度、
視線が集まるつぎの瞬間しかない。
後では間に合わない。

検証している暇もなにも、ない、やるしか。


 
僕はデッキの取っ手をひっつかみ、深呼吸して、階段を駆け上がった。
 


(つづく)
 


 
 
日疋士郎

Photo by 松本和幸
(C)ぷろじぇくと☆ぷらねっと 2007

 
 
◇「神楽坂まちの手帖ニュース103号」(けやき舎メールマガジン)
連載『神楽坂逍遥(その11)』より許可を得て転載
 
 
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| 小公演VOL.2公演記 | 02:11 | comments(0) | trackbacks(0) |

『ハプニング ( その2)』



 
前回から続く、神楽坂下ドトール小公演ハプニング記(?)である。
 
…開演10分前にデッキの故障が発見できたのは、
後で考えたらラッキイだったと思う。

本編の上演中だったら、ひどいことになっていたかもしれぬ。
 
故障した二台目のデッキから流れる僕の台詞と効果音は、バイオリンの生演奏と、
僕を含めた役者三人が「手紙」に見立てた赤と緑の薄紙を
フロアー中(ドトールさん大目にみていただいて、ありがとうございました!)))に
大きな紙吹雪のようにまき散らす、目をひく動きと密接に関連していて、
タイミングのうちひとつでも外したら各々修正が難しい。
劇中最も複雑なシーンのひとつであり、失敗したら悲惨なことになる。


 
開演前ではあるが、僕はもう「舞台兼客席」である右側のフロアーに出ている、
つまり、演技している。
「店をチェックするカフェの店員」の一連の芝居に紛らせて、
いったんデッキを楽屋に下げる。


 
左側のフロアーのカーテンで仕切っただけの
小さな楽屋の中で、急いで全ての電池を新しいものに交換する。

が、、、電源は入らない、どうしたらいいだろう?!

苛立つが、楽屋の外にもお客さんがいるので、大きな声は立てられない。
 

バイオリニストCHRさんと女優ARLが心配そうに覗き込む。
特にARLは青くなっている。彼女がデッキのコードを忘れたために、
急遽、一週間前のゲネプロとは違って、電池で動かすことにしたからだ。
舞台監督SKくんが心配して様子を見にくる。
すでに開演二分前、時間がない。


 
「デッキ一台でやりましょう、目立たないように僕がMDの入れ替えをします。
動きの方向が変わるけど、きっかけは全く変更ないです。心配しないで。」
ささやき声で二人に伝える。
 

心配でないわけはないのだが、二人はこわばった顔で頷いてくれた。


 
楽屋を出、目立たないようにその決定を
パントリーで出番を待っている男優SRIくんに伝えにいく。

パントリーを出入りすることが当然のような顔で再び出るとすぐ、
開演を知らせる曲を無事な方のデッキからスタートさせる。

「Lover,come back to me」。


 
急いで頭の中で一連の動作をデッキの場所に合わせて組み立てなおす。

まあ、いけそうだ。

 
ここまではまあ、良かったのである。
さらにハプニングは続いた…。


 
なんと劇中にデッキが復活してしまったのだ。


 
(続く)


 
日疋士郎


 
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| 小公演VOL.2公演記 | 22:45 | comments(4) | trackbacks(0) |

『ハプニング』

F1000019.jpg

三月に無事二回目を終了した神楽坂下ドトールでの小公演だが、
初演は2005年11月、同じドトールの3階である。

劇場以外で芝居をやりたいというのはずっと僕が考えてきたことで、
だからドトールのオーナーでもあるGFさんの思わぬ後押しによって
実現したときはほんとうにうれしかったのだが、
役者やスタッフからは企画当初、かなりの反対もあった。

その根拠のひとつが
「ハプニングが予測しきれない」ということだった。
例えば、役者の通る道が椅子でふさがれたらどうするのか、
役者が至近距離に座ることをお客さんが不快に思ったらどうするのか、
カフェであるから飲み物を落として食器が壊れたりしたら
どうフォローするのか、階下から苦情が出たら、云々……

舞台と客席が明確に分かたれている劇場と違って
ひとたび何か起こったら、
芝居が続けられなくなる可能性が高い、という訳である。

そんな反対を僕は時には説得し、時には一喝してつぶしてきた。
いずれは屋外やアパートや、桜の森やプラネタリウムなんかでも
公演をやりたいという気持ちが強くある、だからこんな言い方もした。
予測できないからハプニングなんだし、
それも含めて楽しみたいから劇場でやらないんだろ。
安心して芝居やりたいんなら、
小公演なんかやる必要ない!怖がるな!」

3月4日の初日に起こったハプニングは、
そんなナマイキな僕を芝居の神様が試したのかもしれないと後で思った。

『敬ヒタテマツル貴方様ヘ…(春)』というこの一種のラブストーリーの出演者は
たった三人なのだが、三人目の役者である僕は
「影」という象徴的な役であるので、劇中一言も喋らない。

ただし、台詞はある。
劇中重要な役割を担う時空を超えた
「ラジオの声」として、
カフェの入口と奥とに置いた二台のデッキから、
あらかじめ録音した台詞が流れる。
他の役者との掛け合いの場面さえあるのである。

音響オペレーターはつけず、距離の離れた二台のデッキの操作は、
すべて芝居をしながら、僕がすることになっている。
簡単に聞こえるかもしれないがかなり動きに制約が多く、
小道具や衣装の移動が伴うので神経を使い、
1時間の短い芝居なのに、ワンステージ終わるとフラフラになるのである。

既に12時50分、お客さんは席に座り、
芝居のプロローグは、もうはじまっている。
後10分で芝居の本編がはじまるというその時、
小道具に紛れてカウンターに置いてある、
そのデッキの一台が、全く作動しなくなった。


(続く)

日疋士郎

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| 小公演VOL.2公演記 | 02:04 | comments(0) | trackbacks(0) |

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